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花粉症や鼻炎持ちでもガーデニングはできる?【花粉が飛ばない庭造りのヒント】

Photo by Elena Mozhvilo on Unsplash

春になると草花が出てきて嬉しいのですが、同時に、花粉症やアレルギー性鼻炎を持っている者としては、春は辛い季節の始まりでもあります。私は元々アレルギー体質で、鼻炎が年中出ていたところへ、イギリスへ来てから芝の花粉症も発症。さらに、アトピーまで出るという、散々な状態。ですが、体質改善のために体を動かすことも兼ねて、ガーデニングを始めることにしたのです。

 

花粉症・鼻炎持ちでも、ガーデニングはできます。イギリスのガーデニング番組を見ていると、花粉症のための植栽を提案していたり、アレルギー体質の子供に庭に出てほしいという視聴者からの質問に答えているのを見かけます。これを見てから、私にも「アレルギーが出ない庭造り」ができるのでは、と思い、情報を集めて実践しているところです。

 

そこで、今回の記事では、同じく花粉症や鼻炎持ちの方のために、症状の出にくい庭造りを提案したいと思います。もちろん、個人によって体調は様々あると思うので、ご自分の症状の出方をみつつ、よく様子をみながら参考にしていただければ嬉しいです(必要な場合には、実践する前に医師の意見を仰ぎ、自己責任で行うようにしてくださいね)。

 

日本では血液検査でアレルギー反応のある種類を特定することができるはずなので、どの種類に反応するのか調べるのも一つの手です。

 

くしゃみ・鼻水が出にくい花がある?

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花粉症や鼻炎持ちの人がガーデニングで困るのは、くしゃみや鼻水が出たり、花粉で目が痒くなったりする問題が多いのではないでしょうか。でも、全ての植物が鼻や目に刺激を与える訳ではないって知っていましたか?

 

日本では、花粉症と言えば杉やシラカバの花粉が原因だと言われます。これらの植物は、花粉を風によって飛散させて受粉させる「風媒花」。このようなタイプの植物は、花粉症がある場合には庭に植えない方がいいのは明白ですね。杉・シラカバ以外の風媒花を付ける樹木には、カシやナラ、ヤマモモの他にも、パンパスグラスなどのグラス類も。

 

でも逆に、花粉症や鼻炎など、アレルギーが出やすい人に優しい花もあります。例えば、アジサイやクレマチス、バラ、サルビアなどです。これらは、目や鼻への刺激がとても少ない花。このような花を選べば、花粉症だからといってガーデニングを全て諦めてしまわなくても良いでしょう。

 

花粉症や鼻炎持ちに優しい花

刺激が少ない花について、いくつか種類を分けて紹介します。目や鼻への刺激は、花粉が飛び回ることによって目や鼻に入るために起こります。なので、花粉が飛びにくい花のタイプを植えれば、くしゃみや鼻水を極力防げることになりますよね。

 

1.蜂や蝶などに花粉を運んでもらう花

Photo by Trollinho on Unsplash

蜂や蝶などの昆虫が花を訪れた際に、昆虫に花粉をくっつけて運んでもらう種類は、実はアレルギー持ちに優しいと言えます。これは、花粉が風媒花に比べて大きく、重いからです。昆虫が来るまで花の中心に花粉が留まるようになっているので、飛散した花粉が風に乗って私たちの鼻や目に届くことはないでしょう。

 

イギリスでは、受粉を担う昆虫に有益な花には RHS Plants for Pollinators という王立園芸協会が付与したマークが付いて売っているので、このマークが付いた花を選んでいます。日本では似たようなマークがあるか分かりませんが、RHSの上記のリンクから、英語名のリストを見ることができるので、参考までに。

 

2.筒状の花

Photo by Amber Wolfe on Unsplash

ジギタリスやサルビアのように、筒状の花の奥に花粉を仕舞っているタイプの花は、より花粉が飛びにくいので、安心です。このような花も昆虫に花粉を運んでもらうことを前提にしていて、マルハナバチのように長い舌を持った昆虫しか花粉に到達できない仕組みになっています。

 

このタイプは、見た目で筒状や袋状になっているので、分かり易いですね。花屋さんで見かけたら、安心して選んで良いでしょう。

 

3.改良品種のダブルフラワーや薔薇、アジサイ

園芸用に改良された品種の花の多くは、ゴージャスな見た目になるよう花びらが二重になっていたり、フリルのように何重にも重なっているものが多いです。これらの外周にある花びらは、じつは花粉を付ける雄しべが花びらへ変化したもの。つまり、花粉が少ないか、全くないのです。花粉を求める昆虫には残念な花なのですが、花粉症や鼻炎が酷い人には優しい花だと言えます。

 

Photo by Simone Dalmeri on Unsplash

また、丸い球状の花が付く手鞠咲きタイプのアジサイも、花粉が少ないので良いでしょう。ガクアジサイは中心に花粉があり、昆虫にも優しい花ですが、こちらも風媒花ではないので大丈夫かと思います。

 

薔薇も、一重咲きの原種以外のものは幾重にも花びらが重なっていて、花粉があったとしても奥底にしまい込まれているので、私たちの目や鼻へ届くことはないでしょう。

 

花粉症や鼻炎持ちが避けたい植物

逆に、花や目への刺激がつよく、避けた方がよい種類を書いておきます。

 

風媒花を付ける樹木

  • 杉・シラカバなど、「風媒花」を持つことで知られる種類の木、全般
  • 雄雌が別の木の場合には、雄の木(受粉して実を付ける側ではなく、花粉を飛ばす側の木だから)
  • パンパスグラスや芝など、風に花粉を乗せることで受粉するタイプのグラス類
  • 野菜の中にも、トウモロコシなど風媒花があるのでチェック

 

Photo by Daniel Watson on Unsplash

わたしは芝生だらけのイギリスに来て、芝花粉症だということが分かったので、芝生を持たないことにしています。日本ではイギリスより芝生は少ないかもしれませんが、芝に接してから花粉症を発症する人は多いらしいので、アレルギー持ちで庭に芝生を考えている人は要注意。また、最近はやりのグラス類は盲点ですが、大半が風媒花を付けるので、避けた方が良いです。

 

開いた花びら&細かな花粉の花

外側へ開いた花びらで、特に花粉が多く、細かい粒子のものは要注意。風に乗って花粉が飛びやすいからです。開いた花びらでも粒子が大きく重いタイプは大丈夫なので見分けが難しいですが、一例として、花粉が多かったり、花粉が飛ぶことでよく知られた下記の種類は避けた方が無難です。

 

花粉が飛びやすい花の例:ヒマワリ、キク科全般、デイジー、カモミール、カスミソウ、ガーベラなど

 

匂いの強い花

鼻炎持ちだと分かると思うのですが、花に限らず急に強いにおいがした時に、なぜかくしゃみ鼻水が出始めたりしますよね。なので、匂いの強い花は、アレルギー反応ではなくとも鼻を刺激してしまいやすいと言えます。

 

Photo by Hsiao Aristides on Unsplash

匂いの強い花として、香りがあるタイプの薔薇や、ジャスミン、藤の花、キンモクセイ、ヒヤシンス、スイートピーなどがあります。特に、庭の中でも通路側やベンチの周り、家の窓の近くなどにこれらを植えるのは、くしゃみが出やすい人は避けておくとベストなのではと思います。

 

OPALS指標も参考に

アメリカの園芸家、トム・オグレン(Tom Ogren)が作った植物のアレルギー刺激度合いを表す数値に、OPALSOgren Plant Allergy Scale)指標というものがあります。これは、アレルギーを引き起こす度合いを数値で表したもので、数値が低いほど、その植物が引き起こすアレルギーの可能性も低くなります。例えば、花粉症で悪名の高いシラカバの数値は9ですが、筒状の花を持ち蜂による受粉に頼るジギタリスはわずか2という具合。大まかには上記の分類(風媒花か否かや、花の形、匂い)で考えて、それでも心配なら、この指標をチェックしてみるのも良いと思います。

英語ですが、よくある樹木のOPALS指標を載せたサイトがあったので、よかったら参考までに。あとは、検索で “○○(植物の英語名)OPALS allergy rating” などで検索すると、特定の植物の数値は探せると思います。

 

花粉や刺激物を庭に入れないために

花の咲く垣根を植えよう

垣根を植えると、風に乗って庭の外からやってくる花粉や有害物質をフィルタリングして、庭の中に入ってくる量を減らしてくれます。同時に、隙間のない塀などのように空気の循環は邪魔しません。これにより、庭の中に常に新しい空気が入れ替わるので、花粉症や鼻炎がある場合には垣根のほうが良いかもしれません。垣根は、一説にはその高さの約4~10倍の距離まで風から守ってくれると言います。つまり、高さ2メートルの垣根を植えれば、そこから10メートル前後の範囲へ入る風を減らしてくれると言う訳ですね。高い垣根はちょっと、という人は、ふつうの木と低木を組み合わせて視界は完全に遮らないようにしたり、下記で述べるレディースマントルを植えたりすることでも効果があるはずです。

 

ただし、垣根の種類は風媒花を付けないものを選ばなくてはなりません。一般的に言って、分かり易く花を付けるタイプは昆虫による受粉タイプなので、風媒花ではないため安心です。逆に、猫のしっぽのような、房状の尾状花序と呼ばれる花(花の形は目立たず、緑や薄黄色をしています)が垂れ下がるタイプは、風媒花ですから、避けましょう。また、ヒイラギのように雌雄が別の樹木の場合、雌の実がなる方の木は大丈夫です。

 

レディースマントルの空気清浄力はすごい

Photo by Yoksel 🌿 Zok on Unsplash

レディースマントル(アルケミラ・モリス)を知っていますか?常緑の多年草で、可愛らしい葉はフサフサした毛に覆われていて、雨水などが丸く留まるようすが可愛いレディースマントル。雨の雫を捕まえて留めることから、昔は不思議な力があると思われ、アルケミラ(魔法のもの)という名前が付いたのですが、このフサフサの毛がすごいんです。風に乗って飛んできた花粉や刺激物をキャッチして離さないので、庭の空気中に漂う花粉が少なくなり、アレルギー持ちにはとてもうれしい効果があるのです。色もライムイエローで、可愛い花が咲くので、植えて損はないでしょう。ただし、こぼれ種でどんどん増えるので、増えすぎにはちょっと注意が必要です。

 

 

こうやって書いてみると、花粉症や鼻炎があっても育てられる植物は多いことがわかりました。これまで、アレルギーがでるからとガーデニングを諦めかけていた人も、少し希望が持てればよいなと思います。実際には、全ての植物で鼻炎などが出る訳ではなく、特にある種類に反応する(私の場合は芝など)人が多いと思うので、様子を見つつ大丈夫そうなタイプは植えられるようになるかもしれません。初めに書いたように、一人一人の症状の出方はそれぞれ違うと思うので、よく様子を見つつ、すこしでもガーデニングを楽しめたらいいですね。わたしも、なるべく鼻炎の出ない花を選びつつ植えていこうと思っています。

 

目指すのは「森のような庭づくり」

英国ガーデン日記

“小さなころから、自然や野生動物が大好き。イギリスへ引っ越して、ふつうの家の庭にハリネズミや野うさぎ、カエルが出る環境に驚く。イギリスのガーデン番組で「小さな庭がパッチワークのように集まれば、野生動物の棲み処を増やせる」と頻繁に言っているのに感心し、ブログを通して英国でのエコなガーデニング事情を発信中。本人は新米ガーデナーで、自分の庭づくりは始まったばかりです。”

 

 

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