ガーデンデザイン&トレンド · 野生動物の庭~Wildlife Gardening~

庭のアブラムシやチュウレンジハバチに効果抜群な最新の害虫対策4選【虫には虫で対抗するのが今後の常識!?】

 

こんにちは。イギリスは最近まで霜が降りたりしましたが、5月くらいからやっと、本格的なガーデニングシーズンに入ります。日本でも、北海道や東北の方はこれからが庭造りシーズンの本番かもしれませんね。

 

さて、ガーデニングシーズンが来るのは嬉しいのですが、それと共に到来するのが、アブラムシやチュウレンジハバチなどのいわゆる害虫です。害虫対策、みなさんはどうしていますか?ツイッターやインスタグラムなどでガーデニング関連の投稿を見ていると、既にチュウレンジハバチが大量に出て対策を始めなければならなかったり、アブラムシがもう新芽を覆いつくしていた!なんて投稿をちらほら目にします。

 

そこで、効果てきめんな害虫対策があれば、今からでも知って備えたいところですよね。害虫対策と言えば、従来ならどの殺虫剤の効果が高いかを話すところですが、ワイルドライフ・ガーデンの記事今すぐ使用をやめたいガーデニング関連用品の記事でも書いてきたように、エコの意識を持つことや環境保護が待ったなしの状況になっている今、害虫駆除にはとりあえず薬剤や殺虫剤!というのは、無責任だと思うのです。なので、今回は「殺虫剤に匹敵するか、もっと効果があるくらいのナチュラル害虫対策」について、詳しく紹介したいと思います!取り入れやすく、確立してしまえば毎年ほとんど手間要らずで害虫コントロールをしてくれる方法ばかりなので、ぜひ参考にしていってもらえれば嬉しいです。では、始めます!

 

1.ハナアブを味方に

Photo by Dominik Scythe on Unsplash

ハナアブを知っていますか?実は、ハナアブがアブラムシのコントロールにはすごいパワーを発揮してくれるんです。

 

写真の虫は一見すると蜂に見えますが、実はハナアブ。ハナアブは蜂に擬態しているものが多く、パッと見はミツバチやマルハナバチ、アシナガバチのように見えるのですが、よく見ると目が大きく横長で、羽も左右一枚ずつしかありません(蜂はみんな、前と後ろの羽をセットで持っています)。ハナアブは空中静止するかのようにホバリングするので、英語ではホバーフライといいます。名前にフライ(英語でハエ)と付くことからも分かる通り、アブと言うよりもハエの仲間なので、人を刺したりすることはありません。きっと、お庭の花々に来る蜂のような見た目の虫で、このような不思議な飛び方をするものに気づいたことがある人も多いと思います。

 

このハナアブ、アブラムシの天敵として優秀で、ハナアブがお庭に来て増えてくれれば、その幼虫がアブラムシを食べてくれるのです。人間が何かする必要はないので、もしハナアブを味方につけられれば問題は解決しそうですよね。

 

ハナアブを惹きつける方法

Photo by Markus Winkler on Unsplash

ハナアブを庭に呼ぶには、ハナアブの好きな植物を植えるのが良いです。ハナアブはマルハナバチなどと違って長い舌を持たないので、ジキタリスやペンステモンのような袋状の花には来てくれません。ワイルドフラワーの花畑を作ろうの記事でも書いたように、庭に植える花の種類や形状のバラエティを豊かにすべきなのは、このように多様性のある種類の益虫や生き物に良いからでもあります。ハナアブに関して言えば、フラットな円形をした、アキレアやフェンネルのような花が特に好き。また匂いの良いスイートアリッサムや、シングルフラワー(花びらがシンプルな一重になっている花)のダリアにもよく集まります。それと、同じくシングルフラワーの通称ポーチドエッグ・プランツという白に黄色のセンターの可愛らしい花があるのですが、これがハナアブのお気に入りと聞いて、今回わたしも種まきしてみました。また花が咲いたらお知らせしたいと思います。

 

2.カゲロウやテントウムシを呼び込む

Photo by Adli Wahid on Unsplash

テントウムシを知らない人はいないと思いますが、カゲロウは実際に見たことが無いという人もいそうですね。薄緑色などをしていて透き通った網目状の羽を持ち、小さいのでよく見ないと見つからないかもしれません。でも、カゲロウはテントウムシと並んで害虫対策の決め手になる存在だと言えます。

 

テントウムシとカゲロウは共にアブラムシの天敵で、幼虫も成虫もアブラムシを食べてくれるので、アブラムシの数を抑えるにはとても効果が期待できるのです。イギリスでは近年、テントウムシやカゲロウの幼虫がアブラムシ対策として流通していたり、テントウムシが越冬できるバグホテルが注目されたりしています。イギリスのオンラインのガーデンセンター大手にCrocusというショップがあるのですが(上記のリンクはそこです)、このような大手ショップでテントウムシの幼虫やテントウムシを庭に引き寄せる餌や、バグホテルが売っていることからも、「アブラムシ対策にはテントウムシやカゲロウを」というのが段々と一般的になってきているのだと感じます。大量発生時のためのスプレー状の殺虫剤も売っていますが、多くが化学成分よりは環境に配慮した除虫菊からの植物由来の成分などを使っているようです。しかし、たとえ植物由来で人や哺乳類への影響は少なくても、近年減少が問題化している蜂への毒性が懸念されたりしているのも事実。中には蜂への影響は少ない処方と謳うものもあり、一応は殺虫剤の環境や生物への影響が意識されていることが窺えますが、近い将来的には殺虫剤は害が大きいため全面的に廃止されていくのではないでしょうか。

 

Photo by Weronika Marcińczyk on Unsplash

イギリスでは、チュウレンジハバチの対策として、オサムシも挙げられています。オサムシはカブトムシやゾウムシをちっちゃくしたような、小さな甲虫なのですが、見た目に反して肉食なのでチュウレンジハバチの幼虫などを食べてくれるらしいのです。チュウレンジハバチに対して、RHS(英国王立園芸協会)のページでは殺虫剤は効かない上にその他の生物への害の方が大きいので、推奨しないと書かれていました。また、数が少ないなら幼虫にやられた葉を手で取ることもできるものの、現実的ではないですよね。オサムシが来る庭を作るためには、木の枝などを積み重ねて昆虫が住める場所を庭の一角に残すなどの方法が有効で、これは他の生き物の隠れ家にもなるので、庭全体の生態系のバランスを整える一歩として良いと思います。

 

ちょっと調べたところによると、国や地域ごとのオサムシの種類によって、主食とするターゲットの幼虫などが違うらしいので、日本でも当てはまるかは残念ながら分かりませんでした。日本でも、このような害虫のコントロールを生態系の観点から見て考えるような研究が進み、日本にいる生物の種類に応じた対策が一般的に分かりやすい形で提案されると良いなと思います。もし、既にそういうのがあるよ!というのを知っている方がいたら、ぜひこの記事に追加で情報をアップデートしたいと思うので、教えて頂ければうれしいです。

3.野鳥が子育てできる庭を作る

Photo by Fabrizio Frigeni on Unsplash

野鳥の来る庭って、素敵ですよね。野鳥が来る庭というのは、つまりは野鳥を含めた様々な生き物にとって環境が良く、お庭全体の生態系のバランスが取れた庭ということ。これは、害虫と言われる虫も含めて食物連鎖などのバランスが保たれているので、アブラムシやチュウレンジハバチのように一種類の虫だけが発生して手に負えない、という状況にはなりにくい庭なのです。

 

ごく一般的な野鳥のシジュウカラなどは、子育ての際にアブラムシを捕まえてヒナに与えることが知られています。また、野鳥は一般的に、アブラムシに限らず様々な種類の虫を食べるのは、周知の事実。うちの庭にはいま、ブラックバード(クロウタドリという黒い野鳥)や雀が子育てしているのですが、見ていると10分に一回くらい昆虫を捕まえて巣に戻ってきて、一日中せっせとヒナに与えているのが分かります。ちょっと見ているだけでも頻繁にヒナに餌を与えているし、親鳥も自分のぶんのエサが必要なはずなので、野鳥がいるだけで、かなり多くの虫を食べてくれていることが想像できますよね。

 

野鳥を呼び込むには、ワイルドライフ・ガーデンの作り方の記事でも書いたように、小さな受け皿でも良いので水浴びや水分補給ができる水場があることや、餌となる昆虫の棲み処やバードフィーダーがあること、巣が作れる低木などがあることなどが大事です。開けた枝ぶりの落葉樹はシンボルツリーとして人気ですし、実がなるなら野鳥の餌場にはなりますが、低木や背丈のある草などの安全に動き回れる場所や、巣作り・子育てに適した環境が無ければ野鳥は留まってはくれません。まずは、葉の茂った常緑樹を小さなもの一つからでも植えてみたり、バードバスを置いてみたりすることから始めてみると、庭に来る野鳥の数や行動の変化が感じられるはずです。

 

4.アシナガバチを味方に付ける!

Photo by James Wainscoat on Unsplash

え?と思った方、まずは落ち着いてください(笑)アシナガバチは、怖いし危ないと害虫扱いされがちなのですが、庭にとっては実は優れた益虫だったりもします。そして、刺さないアシナガバチもいるって知ってますか?刺さない蜂の巣箱を置こうの記事でも触れた通り、世界の蜂の9割超は刺さない種類の単生蜂。単独行動をして、針も退化してしまっているんでしたね。その単生蜂の仲間には、実はアシナガバチの種類もいます。彼らは集団を作らず、刺すこともないのですが、アシナガバチなので肉食で、チュウレンジハバチの幼虫なども捕まえて子育ての際のエサにしてしまうんです。アシナガバチは雑食性なので、その時いちばん手に入り易い獲物を食べてくれます。つまり、庭に多く出て困っている害虫が増えすぎる前に、数を減らしてバランスを保ってくれるんですね。こうして考えると、害虫対策にとってアシナガバチは重要な役割を担っているのだと分かると思います。

 

また、単生蜂に限らず、普通のアシナガバチも一括りに害虫と見なす必要はないはずです。なぜなら、夏の間は庭に増えると困る幼虫などの天敵として大活躍してくれ、こちらがむやみに手で振り払うなどの無謀な行動をしなければ、刺される理由もないからです。アシナガバチは比較的穏やかな気質だと言われるので、巣が出来てしまった場合は別ですが、そうでなければ共存する方向で考えるとメリットの方が大きくなると思います。庭の花にアシナガバチが来ていたら、驚いて駆除を一番に考えたくなるかもしれませんが、少し落ち着いて様子を見てみましょう。もし巣を作っているなどの危険がないようであれば、ぜひ庭の虫を食べて存分に活躍してもらうと良いと思います。

 

ちなみに、単生蜂ではない、いわゆる普通の針を持つタイプのアシナガバチは秋ごろにかけて攻撃性が増すと言われていて、この頃にバーベキューなどをして肉類やジュースを放置していると、アシナガバチが引き寄せられる可能性が出てきてしまいます。不要な接触が増えると刺される可能性も増えるので、この点だけはよく注意して過ごしたいところですね。実は、わたしもアシナガバチやスズメバチには正直なところ恐怖心しかないのです。でも、世界の蜂の9割は刺さない単生蜂で、アシナガバチもこちらが攻撃しなければ滅多なことでは刺さないと知ってから、蜂を見てもむやみに怖がるのをやめたいと思っています。お庭には蜂は来るものなので、落ち着いて見守り、害虫コントロールに活躍してもらいたいところですね。

 

番外編:その他の生物学的な害虫対策アプローチ

殺虫剤などの危険性が問題になってから、害虫対策でこれに代わるものとして、生物学や昆虫学的な観点からの対応が注目されています。以下に、ちょっとだけ番外編としてその他の役に立っている生き物を紹介しますね。

  • 線虫:イギリスでは、線虫(Nematodes)はガーデニング用品を売るサイトなどで良く目にするようになってきています。線虫は自然に土の中に生息していて、幼虫などの土の中にいるタイプの害虫が増えすぎてしまった際の対策として使われているようです。ガーデニングでこのように使われる線虫は、研究からその線虫のターゲットを割り出して特定の害虫に有益だと分かっている種類が選ばれているとのこと。複数の種類の幼虫などを一度にターゲットとできるため、線虫は害虫コントロールとして優秀と考えられています。
  • 寄生性の極小アシナガバチ(単生蜂タイプ):英語でBoxusと呼ばれる西洋ツゲは、垣根として一般的に使われてきた木なのですが、近年は葉を食べ尽くして丸裸にしてしまう蛾の幼虫がロンドン周辺で大流行していて、対策が急がれています。薔薇に来るチュウレンジハバチと同じで、手で幼虫を取るような対応には限界が。そこで、今週のBBCのGardeners Worldでは、広大なマナーハウスのBoxusの垣根を守るため、寄生性のマイクロワスプ(極小アシナガバチ)を使う方法が試されていて、もうじきイギリスで一般的にも使えるようになると言っていました。寄生性のアシナガバチは単生蜂で、蛾の卵の中に卵を産み付けるため、孵ったアシナガバチの幼虫が卵を食べて育ってしまうのだそう!根本から蛾のライフサイクルを断ってくれるこの方法は、なんだか期待大な感じがします。この他にも、卵を産みに来たメスの蛾が嫌う匂いのする、蛾の成分やハーブに由来するバイオロジカルな製剤を木にぶら下げる試みも行っているとか。殺虫剤が主流だった害虫対策も新しい次元になっていて、とても興味深いですね。

 

 

以上、今回はガーデニング業界で最新の害虫対策を4つ紹介してみました。番外編も踏まえて見てみると、傾向として今後はバイオロジカルな、生物学や昆虫学などに基づいた環境に優しい対策が急速に進んでいくような気がします。それと同時に、殺虫剤や粘着剤などのタイプのターゲットの選択があいまいで生態系全体への害が大きいタイプの商品は、ここ数年の間には無くなるのではと感じました(そうなることを願います)。

 

まだガーデンセンターなどでは害虫駆除の化学スプレーなども売っていて、つい何も考えずに手にしそうになるのも事実です。けれども、私たち一人ひとりの購入者がちょっと立ち止まって「これは目先の効果はあっても、生態系を壊しているのでは?」と意識することが出来れば、環境に優しいガーデニングの流れをサポートできるのではと思います。結局、わたしたちにとって素敵なお庭は自然環境と二人三脚でしか成り立たないと思うので、自然を大事にできるガーデニング方法を選んでいきたいですね。

 

目指すのは「森のような庭づくり」

英国ガーデン日記

“小さなころから、自然や野生動物が大好き。イギリスへ引っ越して、ふつうの家の庭にハリネズミや野うさぎ、カエルが出る環境に驚く。イギリスのガーデン番組で「小さな庭がパッチワークのように集まれば、野生動物の棲み処を増やせる」と頻繁に言っているのに感心し、ブログを通して英国でのエコなガーデニング事情を発信中。本人は新米ガーデナーで、自分の庭づくりは始まったばかりです。”

 

 

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