ガーデンデザイン&トレンド

ガーデニングを軸に、SDGsについて考えてみた【お庭を通したサステナブルな5つの行動】

 

Photo by Elena Mozhvilo on Unsplash

SDGsという言葉、最近よく聞きますよね。グローバル・ゴールズとも呼ばれるこのSDGsとは、Sustainable Development Goals の頭文字で、持続可能な開発目標のこと。国連に加盟している193ヵ国みんなで、2030年までに達成したい17の目標を掲げています。このような説明は近年よく目にするようになったものの、目標が17個もあるうえに、SDGsという言葉だけではパッと意味が掴めず、なんだかよく分からないという印象を持っている人もいるのではないでしょうか。

 

実は、わたしもその一人でした。目標を見てみると「貧困をなくそう」や「持続可能な消費と生産」、「気候変動や生態系維持のための対策」のような言葉が並んでいて、個人ではとても歯が立たない、それこそ国や大企業などが対応するような目標に聞こえてきますよね。でも、ガーデニングを初めてから、ピートモスの使用はやめようなどの発言を多く耳にするようになって、「こういう小さなことから一つずつ関心を持っていくことが大事そう」と感じるようになっていたところだったので、「もしかして、個人で考えるSDGsも、こういうことなのかな?」と思い始めました。

 

そこで、今回はガーデニングに関する観点からみて、個人でできる範囲でSDGsを意識したとき、ガーデニングを通してどんな行動を選択できるのか、考えてみることにします。

 

脱プラスチックと再利用

Photo by Markus Spiske on Unsplash

ガーデニングでは、思った以上にプラスチックを消費していると思います。思いつくだけでも、まず花屋さんから買う苗のポットはプラスチック製が多いし、包装にもプラスチックの袋やビニール(プラスチック)の紐で縛っていたり、新しく花を植えるポットも安いものはプラスチックのがありますよね。最近知ったのですが、苗用のポットに使われることの多い黒いプラスチック製のポットは、リサイクルが難しいのだそう。透明なペットボトルのようなプラスチックに比べ、黒のプラスチックには黒色にするための顔料としてカーボンが使われていて、これは地球温暖化の主犯格として悪名高い物質です。このせいで、ほとんどリサイクルが不可能ということ。すでに2年ほど前に、イギリスで知名度の高いテスコを含めた大手スーパーマーケット4社は、黒色プラスチックトレーを廃止する決定をしたそうで、今後これは世界でもスタンダードになるはずです。黒色に限らずプラスチックの消費は減らしたいですが、ガーデニングをする個人としても、特にこの黒ポットなどから消費を減らしていきたいものです。

 

洗って取っておいた花屋さんの苗ポットを再利用。根っこの状態で届いたホスタやルピナスを植え付けました。

そこで、私たち消費者は、プラスチックを使用した製品を出来るだけ避けることで、需要を減らし、製造者側にNOのメッセージを送るのが良いのではないでしょうか。これは、上記で触れたピートの記事でも書いた通り、需要が無ければ製造もゆくゆくはストップするからです。それから、既にあるプラスチック製品や、どうしても植物の購入時に個人では避けられない苗ポットなどは、そのままの形で再利用できないか考えることで、リサイクル不能なプラスチック廃棄物としてそのプラスチックが埋立地に送られるのを遅らせることができます。例えば、新しく種まきをするのに育苗トレーを新調するのではなく、手元にある果物が入っていたパックを再利用してみる。もしくは、個人で使用をやめるのが難しい花屋の苗が入っていた黒ポットを洗ってとっておき、春の種まき用のポットとして再利用する(これ、私も行っていて、洗えば何度でも長く使えるし、誰でもできる方法です)。

 

ガーデニングでは、注意して考えてみると、意外と細々したプラスチック製品を買ってしまっていると思います。最近では、土に還る素材でできたガーデニング用の紐(クレマチスとかを支柱に縛るための、アレです)や、支柱もプラスチックではなく竹製のものが出回っていますね。それに、種まき後のラベルも製造過程からプラスチック製のものをやめて、木製や竹製、プラスチックスプーンから再利用されたものなどにしていく動きがあって、あとは消費者がそのようなものを選ぶというアクションを起こしやすくなっていると感じました。上記のリンク先はイギリスで有名なGardeners Worldがお勧めする園芸用タグですが、このベスト10のリストには一つもプラスチック製品が含まれず、全て廃棄物からのアップサイクル(再構成)や木製・竹製が選ばれています。今までだと、「防水で丈夫なプラスチック製の園芸用ラベル」なんて文句で売られていたら、単純に便利そうだなと手に取っていたかもしれません。でも、脱プラスチックを頭の片隅に入れて過ごしていたら、地球にもうちょっと優しい素材のを探してみようと思いだせそうです。

 

生物多様性をサポートする

SDGsとは簡単に言えば、あらゆる面で持続可能な方法で生活しようということだと思います。じゃあ、持続可能性ってどこから生まれるんだろうと考えたとき、森や海の生物多様性や生態系などの環境の豊かさが回復されて、私たちが生きるのに必要な資源を使ったとしても世界のバランスを崩す心配なく生きていける状態になったとき、持続可能になるんだと思うんです(もちろん、これはちょっと単純化しすぎているのですが)。

 

Photo by Jenna Lee on Unsplash

今は、養蜂ブームの記事刺さない蜂ハウスの記事でも書いたように、蜂などの昆虫が減少しています。これを例にとると、野菜の生産などで受粉の多くを担っている昆虫が減少すると、食料の生産に影響が及び、ゆくゆくは生産者を含めた人々の貧困や食糧難などにも繋がりうる問題です。蜂の減少の理由は先の記事に書いたように複数ありますが、ワイルドフラワー(野草)の豊富な土地が急激になくなって、週種類の作物だけを大量に育てるために土地が使われたり、工業地帯になって温暖化ガスを排出していたり。街もどんどん大きくなって、都市部の植物や花は減っていて、コンクリートの地面が反射する熱でヒートアイランド現象が起きたり、雨水が地面に染み込めなくて氾濫したりしていますよね。こう考えていくと話が複雑になってきますが、それはSDGsで掲げたような目標はそれぞれが複雑に繋がって関係しあっているからだと思います。だから、目標が壮大過ぎて個人では太刀打ちできないと考えるのではなくて、個人の庭を緑化したりワイルドライフ・ガーデンにしたりしていくことで、出来ることをすれば、庭という小さなエリアの生態系を回復できるし、それは意味のあることなのではないかなと思うのです。また家庭菜園をする人や、バラなどの園芸品種をこだわって綺麗に咲かせたいひとも、生物多様性の乏しい庭では薬剤散布などに頼って害虫対策に追われることになり、持続可能なガーデニングから遠ざかってしまいますよね。これからの害虫対策の記事でも触れたように、お庭の生態系を回復し、多様性をサポートしていきたいものです。

 

Photo by Louis Paulin on Unsplash

ところで、イギリスでは、ロックダウン中にまさに地域の小さなエリアを変貌させた人たちが出ました。ガーデン番組などで注目されたのですが、コンクリートの路地に住民の一人が植木鉢を一つ置いたところから、変化が始まったそうです。それを見た同じ路地に住む人たちが思い思いに植木鉢を置き始めて、ロックダウンから数か月後には、緑の小道が出来上がっていました。住民のコミュニケーションも生まれたそうで、地域の人たちのメンタル面でも良い影響があったよう。グレーのコンクリートの通りが、緑あふれる小道になって、蜂や蝶、野鳥なども来る場所へと変化したのは、素直に素敵だと思います。緑になった通りに集まって来たこれらの小さな生き物たちは、生態系の底辺を支える縁の下の力持ち。そう考えると、小さな変化でも大きな意味があるように思えるのは、私だけではないはずです。実際、紹介した番組では生態系への貢献について触れていました。

 

具体的に生態系をサポートする庭造りについては、ワイルドライフ・ガーデンの記事に詳しく書いているので、良かったら参考にしてみてください。

 

庭で消費・排出するエネルギーを見直す

Photo by Daniel Watson on Unsplash

庭で使っているエネルギー、考えたことありますか?消費・排出するエネルギーは、どんな庭かによって結構違うと思うのですが、一度ちゃんと見直してみると良いと思います。

 

例えば、芝生があるという庭では、芝刈り機を使うと思うので、こまめに芝刈りして手入れするほどに、燃料や電気などのエネルギーを使い、不要な熱を生み出し、大気汚染ガスを放出してしまっていることになります。環境への影響は、芝刈り機を1時間使うと、車で何キロも走ったのと同等のインパクトになると言われるほど(実際に一時間も使わなかったとしても、芝生をきれいに保つための芝刈りの頻度を加味すると、その環境への影響の大きさは想像以上ではないかと)。我が家では、私の芝アレルギーも理由の一部ではあるのですが、思い切って芝生をやめることにしました。芝刈り機を使うたびの環境や庭の野生動物への悪影響もそうですし、どこかの過去記事でも触れたように、単一の芝という植物で庭を埋めてしまうことで生物多様性を犠牲にしているという問題も大きいと思ったからです。ただ、すでにある芝生を一気に諦めるのはハードルが高く、多くの人にとって現実的ではないと思うので、この場合は芝刈りを何か月かに一回に減らして、芝を伸ばしておく期間をつくるのが初めの一歩として良いと思います。エネルギー消費や熱・ガスの排出量を減らすことができ、芝を伸ばすことで様々な生物の棲み処を提供できるので、一石二鳥でおすすめです。芝刈りに取られていた時間を純粋に庭を楽しむ時間に使えるし、悪いことはないはず!(※ただし、私のように芝花粉症のひとは、最低でも2週間に一度は芝刈りしないと花粉が飛びます。芝刈りを自分ですると、それまたアレルギーが出るので、いっそ芝生をやめる方が良い気がしますね)

 

あとは、庭にポンプで動くような噴水とか、夜にライトアップするランプなんかがある場合には、それらを太陽光充電式のものにするのも、省エネになると思います。この庭で消費・排出するエネルギーや環境への影響は何があるだろうか?見直せるものはないかな?ということを一度考えてみると、改善できる点が多く出てくるのではないでしょうか。

 

家庭菜園を通して食の循環を考える

Photo by Elias Morr on Unsplash

地産地消が言われてだいぶ経ちますが、家庭菜園ってその究極の形だと思うんです。それこそ、普段の野菜などの100%を家庭菜園で作るのは到底無謀だけれど、100かゼロかじゃなくて良いと思います。それと、できれば家庭菜園で採れた野菜を調理する⇒その時に出た野菜の皮などをコンポスト(堆肥)にする⇒ガーデニングの堆肥として利用する...のようなサイクルを作れれば、本当に理想的ではないでしょうか。わたしも、最終的にはこれを目指しています。一足飛びには行かないので、まずはマイクログリーンでキッチン菜園をして足慣らし⇒家庭菜園を始める(今春から始めたところです)⇒コンポスト導入(できれば秋~来年には)⇒堆肥を自分でまかなう、と段階を追って進めていきたいですね。無理して挫折するよりは、一歩ずつ着実に。

 

それと、家庭菜園を始めるなら、無農薬で、その土地に合ったものを作るのも、SDGsの視点に沿った方法だと思います。無農薬はもちろん環境や健康への配慮から守りたいところだし、その土地に合ったものというのは、気候に合わせることで強い苗が育ち、肥料や害虫、病気の発生などを押さえることができるため、必要最低限の資源でサステナブルな育て方がしやすいから。このあと触れるような、温室で消費する電力などの問題なども解消できます。

 

植物の選び方・育て方を見直してみる

Photo by Richard T on Unsplash

植物の選び方というと、たぶん好みで選ぶひとが多いと思います。でも、環境への負荷などを考えると、その植物が本来どこから来たのかが大切なのです。

 

オンラインで植物を買うのはサステナブルじゃないのか気になって調べた記事でも書いたように、ガーデニングや室内に植物を置くのが趣味の場合、選び方・買い方を考えることが、これからは必要だと思います。例えば、わたしが住んでいるイギリスは北海道や東北のような気候で涼しいのですが、ここで温かい地方が原産のお花などを育てようとすると、次のような2つの問題が出てきくるのです。一つは、育てる環境の調整。もし、観葉植物で室内で人間が過ごす環境に適応するなら良いですが、これが専用のヒーターが必要になったり、温室で電力を使うような場合には、あまりエコではないかもしれません(とはいえ、もしその電力を太陽光発電でまかなうとなれば、話は変わってきますが)。2つ目の問題は、その植物を売っているお店はきっと、大規模な生産用の温室を維持しなければならなかったり、暖かい地方からその植物をはるばる輸入する必要が考えられること。これも、カーボンフットプリント的に良くなさそうですよね(輸送のたびに、二酸化炭素などの温室効果ガスが発生してしまいます)。

 

こう考えると、やはり住んでいる環境に合わせた植物を、なるべく近場から調達するのが大事なのだと思います。そうすれば、冬場のヒーターによる温度調節などのエネルギーを必要としないで持続可能な方法で育てられるし、カーボンフットプリントも少なく済むでしょう。それを考え合わせると、気候に合ったものを育てる、というのは、やはり理にかなっているのではないでしょうか。

 

 

こうやって見てみると、SDGsと言うと普段の生活からかけ離れた地球規模の話のようにも聞こえるけれど、環境保護や温暖化対策、エコやリサイクルなど既に馴染みのあることが、個人で取り組める部分なのかなと感じました(地球規模の変化が必要なのは間違いないですが、だからこそ一人ひとりの意識の変化も必要かなと)。もちろん、SDGsには教育の普及や貧困対策なども入っているので、ガーデニングの観点以外でも、普段の生活で消費するコーヒーの生産者が児童労働などをしていないか確かめたり、フェアトレードの品を積極的に選んだりするのも大事そうです。今回は、庭好きとしてガーデニングを通して考えることで、生活の他の面でも意識するための考え方が見えてきた気がします。SDGsは本格的には複雑な話なので、今後も理解を深めていきたいと思います。

 

個人で出来ることは、ごく小さな力にしかならないようでも大きなムーブメントの一部になるし、ひとりの消費者として大企業や国へのメッセージを送ることに繋がって、最終的には大きな変化を生み出すことができる可能性を秘めていると感じます。まだエコな商品などは高いことも多く、全てを一気に切り替えるのは、現実的ではありません。でも、可能な範囲でひとりひとりがSDGsを意識した行動に切り替えていくことで、生産者や国は私たちの選択を無視できなくなり、エコな商品を手に届く価格で提供するようになったり、より効果のある法整備をしたりと変化していくのではないかと期待しています。

 

 

目指すのは「森のような庭づくり」

英国ガーデン日記

“小さなころから、自然や野生動物が大好き。イギリスへ引っ越して、ふつうの家の庭にハリネズミや野うさぎ、カエルが出る環境に驚く。イギリスのガーデン番組で「小さな庭がパッチワークのように集まれば、野生動物の棲み処を増やせる」と頻繁に言っているのに感心し、ブログを通して英国でのエコなガーデニング事情を発信中。本人は新米ガーデナーで、自分の庭づくりは始まったばかりです。”

 

 

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